金融所得における課税制度の問題点と解決法

金融所得における課税制度の問題点と解決法

株、FX、仮想通貨等における課税制度の問題点

問題点1:税金が還付されない・損失繰越が出来ない

投資による所得は他の所得と性質が違います。

その大きな違いは「投資による所得は波がある」という点です。

給与所得などの所得と違い、マイナスになる場合もあります。

 

下の例を使って解説します。

・2018年:株で300万円の利益(約60万円の課税)

・2019年:株で100万円の損失(0円の課税)

2018年だけ見ると年収300万円ですが、2年間でみれば年収は100万円です。

このように投資所得は長いスパンでみなければ、所得水準をはかることはできません。

 

現行の制度では、2019年の損失100万円は翌年以降の3年間繰越となります。

しかし、この方法では2020年以降も取引を継続し、かつ、3年以内に利益を出さなければ意味がありません。

 

よって、本来あるべき正しい方法は、課税しすぎた20万円を還付することです。

例えば、2019年の損失が500万円であれば60万円を還付し、残りの200万円を損失繰越とするのが筋です。

 

金融庁の資料によると、損失繰越期限はアメリカ、イギリス、ドイツは無期限、フランスが10年らしいです。
(※最新の情報はご自身でご確認ください)

日本の損失繰越は毎年申告が必須であるにも関わらず、わずか3年間しか繰り越しできません。

 

さらに、仮想通貨においては、損失繰越すら認められておらず、早急に税制を整備する必要があります。

 

問題点1の解決策

・納め過ぎた税金を還付する。

・確定申告をする限りにおいては、損失繰越の期限を無くす。

・仮想通貨においても、損失繰越できるよう税制を整備する。

問題点2:損益が通算できない

所得の種類

株:譲渡所得(配当を除く)(分離課税)

FX:雑所得(分離課税)

仮想通貨:雑所得(総合課税)

この様に所得が細分化されているせいで、損益が通算できないという問題を抱えています。

 

2019年:株で200万の利益、FXで150万円の損失、仮想通貨で200万円の損失

例の場合、トータルで150万円損失にも関わらず、40万円の所得税が発生します。

 

株、FX、仮想通貨でどれも損益を通算出来ないために、

所得がマイナスや0円でも「所得税」が発生する異常な制度です。

 

問題点2の解決策(2通り)

1.所得区分に関わらず、所得の損益を通算できるようにする。

2.投資に関わる所得を「投資所得(分離課税)」にまとめ、全てを通算出来るようにする。

問題点3:仮想通貨の税率が単年評価で決まる

FXや株などには申告分離課税が適用されていますが、仮想通貨にはまだ適用されていません。

仮想通貨の所得の性質上、申告分離課税か平均課税にしなければ非常に不公平な課税になります。

以下でその理由を解説します。

 

総合課税は累進課税ですが、以下のメリットとデメリットがあります。

累進課税のメリット

・税金が正しく使われば、国全体として富の再分配になる場合がある。

累進課税のデメリット

・税率差があり過ぎると不公平感が生じる。

・高所得者の海外流出を招きやすくなる。

・稼げば稼ぐほど勤労意欲が削がれる。

・資本主義社会でありながら社会主義に近くなる。

・課税体系がシンプルでない。

 

税金は公平に課税されるべきですが、何をもって公平とするか以下の3パターンが考えられます。

3つの公平な課税

1.全員に同じ額を課税する。(例:所得にかかわらず30万円課税)

2.全員に同じ税率で課税する。(例:所得に対して10%課税)
3.所得が多い程、高税率で課税する。(現在の総合課税はこれ)

 

1は「全員が同じ金額を払う」のが公平という価値観です。

2は「所得が多いほどたくさん払う」のが公平という価値観です。
3は2の格差をさらに強化したものです。

現在総合課税で適用されている3の価値観において、多く課税する根拠は「所得が多いから」です。

多くのデメリットの中で総合課税(累進課税)になっているにもかかわらず、
仮想通貨取引の所得と他の所得を比較と比較すると、「低所得者の方が高税率」となり、主張されがちなメリットとは真逆の課税制度となっています。

 

例:トレーダーAさん(平均所得333万円・他の所得は考慮しません)

2018年:仮想通貨取引で1000万の利益(税率33%・控除後税額:1,764,000円)

2019年:仮想通貨取引で1000万の損失

2020年:仮想通貨取引で1000万の利益(税率33%・控除後税額:1,764,000円)

例:会社員Bさん(平均所得500万円・給与所得控除等は考慮しません)

2018年:500万円の給与所得(税率20%・控除後税額:572,500円)

2019年:500万円の給与所得(税率20%・控除後税額:572,500円)

2020年:500万円の給与所得(税率20%・控除後税額:572,500円)

※トレーダーAに他の所得あった場合、会社員Bさんに給与所得控除等を考慮した場合は、課税の格差がさらに不公平な方へと拡大します。

 

例の場合、トレーダーAさんのトータル所得は1000万円、平均所得は333万円です。

一方、会社員Bさんはトータル所得は1500万円、平均所得は500万円です。

平均所得は会社員Bさんの方が、167万円多いことになります。

 

ところが税額を見ると、トレーダーAさんは3,528,000円、会社員Bさんは1,717,500円で

トレーダーAさんの方が1,810,500円も多く課税されています。

平均所得333万で見ると、控除後の平均税率は35.3%になります。

これは所得1800万円~4000万クラスの税率です。

 

もっとひどい場合を考えます。

例:トレーダーAさん(平均所得50万円・他の所得は考慮しません)
2018年:仮想通貨取引で1000万の利益(税率33%・控除後税額:1,764,000円)
2019年:仮想通貨取引で900万の損失

この場合、平均所得50万円に対して年平均882,000円の課税です。

平均税率は176.4%で最高税率を突き抜けて、100%すらも超えています。

異常としかいいようがありません。

 

トレーダーAさんの方が税率が高くなった2つの原因

1.税率の根拠となる所得が単年度評価だから

給与所得などは、おおよそ一定でマイナスになることはありません。

しかし、仮想通貨取引による所得はブレが大きくマイナスになることもあります。

その為、税率の根拠となる所得は平均的に評価する必要があります。

2.損失繰越ができないから

問題点1でも述べましたが、仮想通貨は現状では損失繰越すらできません。

以上のことから、平均所得に対して異常な高税率となりました。

 

例の場合が特別ではなく、ありとあらゆる所得の組み合わせにおいて、

所得の変動がある方が、無い方に比べ、平均所得に対しての課税が多くなります。

 

このような事を防ぐため、日本には平均課税制度という制度が既に存在します。

水産業や印税、不動産など様々な所得に適用されていますが、

仮想通貨にはまだ適用されておらず、あまりにも不公平な状況となっています。

 

また、株やFXに適用されている申告分離課税では税率が固定なので、

所得の波が大きい投資分野に最適な課税方法です。

 

問題点3の解決策(2通り)

問題点2解決策に投資所得(分離課税)に全てまとめるというものがあります。

それを考慮すると、既にある申告分離課税に仮想通貨取引も組み込む方が簡単です。

よって、一番良い解決方法が申告分離課税、二番目が平均課税です。

 

全ての問題を一気に解決する方法

これら全ての問題を一気に解決し、さらに現在よりも公平な社会にする方法があります。

それは所得税を廃止して、相続税に一本化する事です。

もちろん、抜け穴や不備が無い様に万全の体制で相続税を増税します。

 

本人の行動の結果は尊重するべきです。
それによって得られた所得も、生きているうちは全てその人のお金であるべきです。
つまり、所得税は廃止するべきです。

 

しかし、どこかで課税しなければ国がまわりませんので、
死んだ時に国に戻せば良いのです。

 

相続によって得られた所得は本人の行動と何ら関係がありません。
金持ちの子供は金持ちというのは良くないです。(俗にいう親ガチャ)

人生のスタートラインを等しくする事は不可能ですが、公平に近づける事はできます。
それが相続税の増税(一本化)です。

相続税への一本化は公平な社会に近付きます。

 

相続税への一本化のメリットはこれだけではありません。

毎年確定申告をされている方なら分かると思いますが、
所得税の課税には膨大な事務コストと無駄な時間が費やされています。

相続税は一生で1回しかありませんから、1回で一気に回収でき、大幅に無駄を削減することができます。

社会全体でみて、効用の最大化を実現する素晴らしい仕組みが相続税への一本化です。

 

もし相続税に一本化されると、死ぬまでに全財産を使うだろうと思われる方もいるかもしれません。

家や車、貴金属や株などに使った場合はこれもまた相続税の対象となるので、

全財産を使う方法はまさに散財と呼べる消費活動しかありません。

全員がそうするわけではないですし、仮にそうする人がいたとしても全財産が社会へ放出されるわけですから、

経済が活性化し、その分全体の所得が上昇します。お金を使う人がいる時、必ずお金を受け取る人がいるからです。(三面等価の原則)

また、死とは突然やってくるものです。計画的に全財産を使うのもそんなに上手くいきません。

 

もし相続税に一本化されると、税収が安定しないと思われる方もいるかもしれません。

人は毎日何人も死にます。年によってブレがあるのは所得税でも同じことです。

しかも年間死者数は増加傾向ですので、税収は増えるばかりです。

さらに経済状況の悪化や災害等が起こる時に死者数が増えますので、

危機の時(国にお金が必要な時)ほど税収が増え、国の自動安定化装置としても機能します。

 

無い袖は振れないので、結局のところ人生の途中で課税するか最後に課税するかだけの違いでもあります。

それを踏まえれば、相続税へ一本化で、所得税だけではなく消費税も廃止する事が出来ます。

消費税は膨大な事務コストがかかり、消費を抑制し、経済に悪影響を与える最悪の課税方法です。これも廃止するべきです。

 

また、社会に役立つような課税の仕方(ピグー税)を積極的に導入する事も良い方法ですので、同時に実行するべきです。

・たばこ税などは健康を守る意味もあるので、ピグー税に近いものです。これは維持するべきです。

・指定ゴミ袋有料の自治体は既にありますが、全ての地域で指定ゴミ袋を有料化するべきです。

ゴミ排出量に応じた公平な処理費用の負担と、ゴミ削減に繋がります。

・レジ袋などの使い捨て用品に課税するべきです。(使い道の無い原料等で作られるレジ袋等については非課税とするべきです。)これは環境を守ることができる課税です。

ただし、有料化強制は辞めるべきです。有料にするか無償提供するかは企業の判断に委ねるべきです。

・ペット売買にも課税するべきです。毎年何万もの犬、猫が殺処分されている現状を少しでも改善する事のできる課税です。またこれらのペットが譲渡されやすい様な仕組みを作るべきです。

・高速道路が常に快適になる様に交通量に応じて可変的に課税するべきです。

 

おまけ

ロシアの仮想通貨&ブロックチェーン協会(RACIB)の会長であるアルセニー・シチェルツィン氏は話す。

「課税対象となるべきは労働から生まれる結果であり、その過程ではない。過程に対して課税することは、データ処理に係るすべてのプロセスに課税することと同義である。それは全くの間違いであろう」

引用元:BTCN – ロシア、マイナーや仮想通貨トレーダーに対する課税の予定はなし

この様にそもそも課税対象となるべきではない。という考えもあります。

 

おわりに

これらの問題を棚上げにして、税率だけ上げる様なことは絶対に許すべきではありません。

日本を良くする為にも、まずはおかしいことに、おかしいと声をあげましょう。

不公平な税制を改善し、日本でも投資家を育てるべきだと思います。

 

現在の日本は、家電も追い抜かれ、自動車産業でさえ先行きが危ういです。

金融分野は香港の状況もあり、今の日本が稼げる可能性のある数少ない分野の1つです。

例えば、トップ層の暗号通貨トレーダーの場合、海外で大金を稼ぎ、日本に持ち帰り、利益の約55%を納税します。

(相続税への一本化をすれば、利益のほとんどが国や社会へ還元されます。)

 

不公平な税制という足かせがあれば、投資をやめてしまうかもしれませんし、海外へ移住するかもしれませんし、

そもそも挑戦しようという気が起こらないかもしれません。これでは育つものも育ちません。

 

金融が弱い国、金融のプロが少ない国は長い目で見ると、とてつもなく大きなダメージを受けます。

世界と戦える投資家がいなければ、日本の富は絶対的・相対的に海外へ流出するばかりです。

 

ご注意

※執筆時現在の情報を元にしていますが、気分次第で加筆や修正もします。
※統計データや客観的な評価に基づくものではなく、正確さも保証していません。
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記事更新履歴

・2018年02月18日 記事公開

・2018年09月19日 文章の大幅修正。読みやすくなりました。

・2018年09月25日 誤字修正、解決策を区別して書き直しました。

・2019年07月06日 加筆・修正、はじめにを削除

・2019年07月07日 加筆・修正

・2019年07月10日 加筆・修正

・2019年07月13日 加筆・修正

・2019年07月14日 加筆・修正

・2020年01月12日 問題点1を加筆・修正

・2020年01月16日 加筆・修正

・2020年01月17日 加筆・修正

・2020年04月3日 修正

・2021年09月30日 大幅に加筆・修正

・2021年10月01日 加筆・修正

・2021年10月02日 加筆・修正

・2021年10月03日 加筆・修正

・2021年12月15日 加筆・修正

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